桃泉の備忘録

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「生焼けじゃないの!?」ローストビーフが安全な理由とは?

ローストビーフは安全か?サムネ

生じゃない…”ロゼ”だッ‼

こんにちは。桃泉です。

こんがり焼けた表面と、肉汁滴るジュ~シィな赤身はサッパリしていてヘルシー。
それでいて焼肉とはまた違った、肉々しいギュムッとした歯ごたえが堪らないッ!
ステーキと双璧をなす高級感漂う至高の肉料理、老若男女問わず人気のローストビーフ

もうね、見てるだけで涎が垂れてきましたゎ~(*´﹃`)
でも気になる疑問。

生焼けじゃない…よね?

そう、お肉の色が赤に近いピンク色をしているので「生焼けなんじゃ…?」と心配する方も多いはずです。
どんなに美味しくても、食中毒で地獄の苦しみを味わってポックリ……なんて勘弁ですからね。

一度不安になったらもう怖い。
ローストビーフこわい。まんじゅうこわい
|ω・`)チラッ……でも、安全なら食べたいなぁ。

そんなあなたに今回共有したいのは、ローストビーフが安全に食べられる理由ですッ!

ご存知のとおり牛肉であることは理由の一つです。
ただそれだけじゃない、他にも安全の秘訣は調理法にもあったのですよ♪
(最終更新:2022/1/15)

ローストビーフが安全に食べられる理由とは?

「ローストビーフは安全だ」と言える理由は2つ。

まずローストビーフ”牛肉”であること。
牛肉は菌がついても表面だけなので、表面をしっかり焼けば菌が死します。
ステーキがレアで食べられるのはこれが理由ですね。

次にローストビーフ調理法
ただ焼くだけではなく『低温調理』という技法を使っています。
実は赤く見えても、中は生ではなく”ロゼ”という状態だから「火が通っている」と言えるのです。

肉の種類と調理法がカギですな!

結論としては以上終了。
とはいえ、100%安全かと訊かれたら答えは当然「NO」。
このような内容を深堀りしていきますね。

 

牛肉が”レア”で食べられる理由は?

表面をしっかり焼いたレアステーキ

先に話したとおり、牛肉は表面にのみ菌が付着します。
ですから、表面をしっかり焼いて殺菌すれば安全なのですね。

農林水産省消費・安全局発行の『牛肉の生産衛生管理ハンドブック』には

感染した食中毒菌 は通常消化管内で生存・増殖しているだけで、健康な牛の筋肉中に存在することはありません。
牛肉の生産衛生管理ハンドブックより引用

とあるように、「筋肉中にはおらんで~」とお墨付きも。

さらに東京都福祉保健局は、

食中毒菌は、主に牛肉の表面に付着しているので、牛肉の表面と側面をしっかり焼けば、牛ステーキをレア(中が赤い状態)で食べても基本的には問題ありません。
生の牛肉を食べてはいけないと聞きましたが、牛ステーキをレアで食べても大丈夫ですか?【食品安全FAQ】 東京都福祉保健局より引用

と、「表面と側面をしっかり焼けばレアでもオッケー!」と言っています。

ここで気を付けたいのは、内臓部位には食中毒菌が存在していることです。
焼肉屋さんで「内臓は特によく焼け!」と言われたり「レバ刺しヤベェから禁止!」となったのも食中毒菌の危険が危ないからですね。
まぁ、ローストビーフはモモやランプ等の筋肉部位を使うのでセフセフ♪

「内臓=ヤバい」これは覚えておこう!

ただし「基本的に安全」ということは、例外もあります。
たとえば衛生面に問題があったり、牛の筋肉内にトキソプラズマという寄生虫がいた場合は重篤な症状も起こり得ます。

健康な方でしたら抵抗力があるので大事に至りませんが、抵抗力の低い子供/お年寄り/妊婦さんは注意が必要です
同様に胃腸が弱っているなど、体調不良の時にも避けるべきでしょう。

行政もこのように注意喚起を行っています。

食中毒菌は、時間とともに牛肉の表面から内部に浸透していくので、子供や高齢者など食中毒に対する抵抗力の弱い方は、中までしっかり焼いて食べましょう。
生の牛肉を食べてはいけないと聞きましたが、牛ステーキをレアで食べても大丈夫ですか?【食品安全FAQ】 東京都福祉保健局より引用

近年トキソプラズマの危険性が再認識されるようになり、妊婦さんによる食肉への危機意識が高まっています。

妊婦さんは「よく焼き」が大切ね。

ローストビーフの調理方法は『低温調理』

オーブンでじっくり焼かれたローストビーフ

ローストビーフは表面をしっかり焼いた後に、オーブンを使い時間をかけてじっくりじっくり内部まで火を入れていく料理です。
そうして作られたローストビーフの中は”生”ではなく”ロゼ”という火が入った状態になります。

ロゼというのはバラ色を意味し、この鮮やかな色に仕上げた時の内部温度は54~57℃
この温度が絶妙で、お肉の歯ごたえを決める2つのタンパク質(ミオシン/アクチン)にうまく作用しているのです。
そして内部温度を一定にキープすることで、殺菌効果を高めることができるのです。
「○○℃で△△分加熱」という表記があるように、温度だけじゃなく加熱する時間が長いほど殺菌効果は高くなるのですね。

これが低温調理で、フランス料理の三ツ星料理人アラン・パッサールさんが提唱したとされる調理法です。
今ではお肉を柔らかく食べる調理法の代名詞となってますね♪

肉のフランス革命ですな~

さらに製品として売られているローストビーフ食品衛生法の規格基準において、特定加熱食肉製品に分類されます。
その上で加熱殺菌基準は中心温度63℃瞬時または同等以上必要とされています。

厚生労働省「食品別の規格基準について」食肉製品の頁を見ると、各温度帯の必須加熱時間は……

55℃⇒97分
56℃⇒64分
57℃⇒43分
58℃⇒28分
59℃⇒19分
60℃⇒12分
61℃⇒9分
62℃⇒6分
63℃⇒瞬時

となっていました。
この点からもしっかり規格を満たし、市場で売られているローストビーフは安全性が高いと言えるでしょう。

75℃で1分加熱って聞くけど?

食肉の食中毒菌を殺菌するのに必要な温度は、75℃で1分加熱かそれと同等の加熱(63℃で30分加熱など)が必要だというのは有名ですね。

しかしローストビーフは塊肉を使用し、調味料も表面にのみ使用可となっています。
さらに調理前後の温度管理や細菌検査の規格もより厳しいものとなります。
これがハム/ソーセージ等の「加熱食肉製品」とは異なる理由でしょう。
(参照:厚生労働省「食品別の規格基準について」食肉製品)

ローストビーフは食肉製品の中でも「特定加熱食肉製品」という種類に分類され、 原料肉は食肉の単一の塊でなければならないとされています。
にいがた 食の安全インフォメーション > メールマガジンより引用

かつて百貨店で売られたローストビーフが「食品衛生法違反」とされたのは、塊肉を使わずに”結着肉”というつなぎ合せた肉を使用したからでしたね。
塊肉であることは安全性から見てかなり重要だと判ります。

ローストビーフで食中毒が起こるのは?

焼けてない牛肉

ローストビーフ始めに表面をしっかりと焼き固め、その時点で食中毒のリスクはグンと減らせます。
そして長時間にわたる内部の加熱W殺菌を行う調理法ですから、レアステーキより安全性が高いとも言えるかも知れません。

それでも、ローストビーフで食中毒が起きたという話は残念ながらあります。

「ローストビーフ」は食品衛生法の製造基準に従った加熱が行われ、「牛タタキ」とは異なる原材料、方法により製造されていたが、「ローストビーフ」のみを喫食したとしたとする患者28名からも同じPFGEパターンを有するEHECO157が検出されていることから製造施設内又はこれらをカットした特定のチェーンストアの調理施設で「牛タタキ」から汚染を受けたと考えられる。
腸管出血性大腸菌による食中毒の対策について - 厚生労働省より引用

なぜ桃泉がここまで安全だと言っていた、ローストビーフパイセンで食中毒が起きてしまったのでしょうか?
理由の多くは衛生管理を怠ったからです。

ローストビーフで食中毒が起きてしまう原因として、

・肉が腐敗していた
・常温放置が長かった
・肉が成型などの「加工肉」だった
・表面がしっかり焼けていなかった
・焼いてから時間がかなり経ってしまった
・まな板/包丁/食器/手などが細菌に汚染されていた

といったものが挙げられます。

なにもローストビーフに限った話ではないですよね。
先に引用した食中毒も、原因は牛タタキからの汚染だと書かれているように、衛生管理の緩みが一番の大敵なのでしょう。

ですから飲食店は衛生的な場所を選び、自宅のキッチンは清潔に。
食材の保管方法なども今一度見直すことが大切です。
「汚くて美味しいお店」も流行ってますが、「衛生的にどうか?」を一緒に考えてみて下さいね。

古いのと汚いのは違うよね。

調理としての安全性が高くても、人が作る以上事故は起きます。
そのため抵抗力の低い子供やお年寄り、トキソプラズマの影響が大きい妊婦さんには勧められない料理なんですね。

補足①赤い汁が出たけどこれは何?血?

ローストビーフから出る汁

レアステーキでもよく見られる赤い汁。
初めて見たときは「ち、血ぃ~!?いてえよ!いてえ!」となるかも知れませんが、これは”ミオグロビン”という鉄タンパク質の一種です。

ミオグロビンは牛の赤身1gに15㎎ほど含まれていて、酸素を貯蔵する役割があるので血のように赤いのです。
そして肉汁とともに旨味も詰まっていると。

これを逃す手はありませんよね?
だからローストビーフ冷やしてから切るのが最適解。
熱々のうちに切るとブシャー!と流れ出る肉汁が冷やすことでお肉にナイナイされて、噛むごとに肉汁があふれ出るあのヤヴァイ食感が演出できるのです。

だから冷たい状態で出てくるんだね~

お肉はしっかり血抜きされたものが提供されますので、ビショビショになるほど血が流れることはありませんよ♪

補足②妊婦さんは食べない方がいいの?

母と子供の手

「妊婦さんはローストビーフを食べてはいけない」
こう言われる理由には寄生虫トキソプラズマが関係しています。

牛の食肉によって、人の体内で危険な症状を引き起こすのは……

・肝蛭(かんてつ)
・有鉤嚢虫(ゆうこうのうちゅう)
トキソプラズマ

といった寄生虫が主に確認されています。

肝蛭は肝臓の障害などを引き起こしますが、レバーの生食で感染が認められたものですので説明はこの位で。

有鉤嚢虫は脳や眼に寄生することで意識障害/視野障害など重篤な症状を引き起こします。
中心温度60℃以上の加熱や‐10℃以下で4日間冷凍などで予防できますが、生食によって感染リスクがあります。
とはいえ、食肉検査で感染が認められた場合は全廃棄されるので市場には出ないでしょう。

トキソプラズマはどうなるの?

トキソプラズマは健康な人でしたら無症状や頭痛/発熱程度ですが、免疫の弱い方は重篤な症状となる可能性も。
中でも妊婦さんが感染すると胎盤感染により、流産/死産/早産や脳症/水頭症/発育不全などの危険があるので要注意です。
食肉検査ではPCR法などが有効とされているものの、手段や試薬などの規格統一が図れず難しいとされています。

家畜や野生動物におけるトキソプラズマ抗体の保有率については、 ここ10年間だけでも数多くの調査報告を知ることができます。 それによると、食肉処理場の調査で豚は5~10%、牛においても2~5%の抗体陽性率が確認されています。
本当に大丈夫?トキソプラズマ感染|食環研コラム | 残留農薬と食品分析検査(株)食環境衛生研究所より引用

中心温度67℃以上の加熱や中心温度‐12℃以下の冷凍で予防できますが、生食によって感染リスクがあります。
この点から、中心温度が67℃に届かないローストビーフでは妊婦さんにとっては安全でないと結論付けられます。

ステーキも中心温度が70~80℃に達する、ウェルダン以上で食べましょう。
「焼きが甘いな…」と感じたら焼き直しをお願いすれば大丈夫です。
安心してください、そういう時のために「私は客だ!」という言葉があるんですよw

もし妊婦さんで不安な方は、産婦人科で抗体検査も受けられるようですよ。

感染が気になる妊婦さんは、主治医の先生に相談してみましょう。気になる症状がある場合は、保険適用で抗体検査が受けられます。
【産科医監修】妊婦さんが気を付けたい感染症「トキソプラズマ症」 | ママ、あのね。より引用

※参考資料①:内閣府食品安全委員会事務局 平成 21 年度食品安全確保総合調査 『食品により媒介される感染症等に関する 文献調査報告書』
※参考資料②:寄生虫による食中毒にご注意ください | 食品安全委員会

結論まとめ:衛生管理が第一!

ローストビーフは中が赤くても心配なく食べられます。
同様にレアステーキを食べても大丈夫です。
ただし、衛生管理を怠っていなければ!
…というのがこの記事の最終的な結論になります。

どんな食べ物でも衛生管理ができてなければ、食中毒の危険性は爆上がりですからね。
万が一のことも考えて体調不良の方、子供/高齢者/妊婦さんはもっとよく焼いたものを食べて自己防衛しましょうね♪

それではまとめます。

★ポイントまとめ★ ・牛肉は表面をしっかり焼けば安全
・ローストビーフはW加熱でより安全
・中が赤い=生焼けとは限らない
・衛生管理が整っていないと危険
・免疫力の低い子供/高齢者/妊婦は控えるべき

きっとこの記事を読まれているあなたは、危機意識が高いのでしょう。
その思いを持ち続けることがとても大切です。
食中毒はちょっとした油断から広がりますからね。

今回はローストビーフでしたが、ユッケやレバ刺しなどの生肉でしたら話も変わってきます。
危険を感じた食品は「食べない」という選択肢も必要ですよ。
それはきっとあなたとあなたの大切な方を守ることにつながりますから。

元気だからロービー食べる~♪

 

 

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