桃泉の備忘録

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「トマトだけだと思った?」ケチャップの意外な語源とその由来が面白いッ!

トマトケチャップサムネ

ケチャップって言いにくいと思ってたんょ…

こんにちは、桃泉です。
ホットドッグや玉子焼き、ミネストローネetc……洋食だけでなく和食/中華まで幅広く活躍できる万能調味料の一角を担うケチャップ‼
桃泉もスパゲティにはドバドバ使っております!えぇ!そりゃもう!1本使い切る勢いでッ‼

ストックは切らせないなw

よく使うからこそ「そもそもケチャップってどんな調味料なんだろう?」と、そんな疑問がムクムク湧いてくるのも当然の話。
ヨーロッパあたりの調味料でしょ?なんて思っていたけど、調べてみたらその語源が中国にあってファッ!となったり、トマトだけが原料じゃないと知ったり……
なかなか興味深い内容でしたので、今回の記事で共有しますね。

トマトベースに進化したケチャップの歴史は、まるで調味料の世界旅行ょ♪

(最終更新:2025/10/11)

 

 

 

ケチャップのルーツは?

”ケチャップ”と、そう聞けば真っ先に連想するのが真っ赤なトマトでしょう。
しかしながらそのルーツを探って行くと、意外なことに魚醤に辿り着きました!
しょっつる/いしる/ナンプラー/ニョクマムなどで知られる、あの魚醤です。

魚醤ってことは、クセが強かったのかしら?

なぜ?どのように?魚醤から現在のトマトへと移り変わって行ったのか、ケチャップ進化の旅路を一緒に見ていきましょう♪

 

ケチャップの語源は中国語だった!?

魚醤を持つ

「ケチャップ」-この明らかに日本語の響きと違う名称は、やはり外国のものだから。
しかも先ほど少し触れましたが、どうやら魚醤が関係している様です。

それは17世紀ごろ、中国の福建省で魚介を使って作られた魚醤の『鮭汁(kê-tsiap)』
これが「ケ・ツィアプ」のように発音されていた点。
また福建商人が東南アジアに広め、魚の発酵調味料=「kecap」として定着した点。
そして1690年代の英語辞書『A New Dictionary of the Terms Ancient and Modern of the Canting Crew』に、ケチャップが「東インドの高級ソース」として紹介された点などから語源は中国とする説が有力視されています。
当時の東インドは「中国南部~東南アジア一帯」を指してますし、福建省は交易の要所として昔から栄えていることも裏付けの一端ですね。
(石毛直道氏の国立民族学博物館研究報告『魚醤の起源と伝播』参照)

「鮭汁」とあるけど鮭は関係ないみたいだよ。

ちなみに現在の中国語でケチャップは「番茄酱(fānqié jiàng)」、香港広東語圏では「茄汁(ke4 zap1)」と書きます。
また現在の香港広東語圏発音はケチャップに近く、英語「ketchup」の逆輸入とも言えそうです♪
ところで現在の中国語で魚醤を指すのは「鱼露(yú lù)」ですって。こちらは全然違うやんw

 

ヨーロッパに広がり進化する魚醤

魚醤の旅

魚醤は塩漬けにした魚介類を発酵させて作る調味料ですから、旨味が強い反面独特の臭みもあるのが大きな特徴です。
それゆえ中国⇒東南アジア⇒ヨーロッパと広がって行きましたが、「旨味はありがたいけど臭いが…」と敬遠されていたようです。
つまり発酵食品としてワインやチーズは定着していたものの、やはり腐敗との違いは分かりにくく受け入れ難かったのでしょう。

うま味調味料としては優秀だったのね…

また塩漬けとはいえ生魚が原料なので保存性の問題点もあり、旨味を残しつつ臭みの無いしかも保存のきく調味料が求められます。
このメリット・デメリットを上手に調整したのが、当時のレシピとして紹介されているクルミケチャップ””マッシュルームケチャップ”なのです。
そしてそれらが支持されることになり、当時の家庭料理書にも登場するほど一般に普及したのですね♪

 

満を持して登場!トマトケチャップ‼だけど…

トマトケチャップ

さて、広がりつつも魚醤からうま味調味料的な進化を遂げたケチャップは、19世紀の初頭にアメリカにも渡ります。
当時のアメリカではトマトの栽培と加工技術が進んでいたため、ケチャップの原料にトマトを使う試みが見られます。(アメリカ園芸学会創設メンバーの科学者ジェームズ・ミーム氏が1812年にレシピ発表)

しかしながら当初はトマトの酸味に加え、酢やスパイスで保存性を高めていたこともあったので刺激が強く家庭的な味わいではありませんでした。
また水分の多いトマトですから微生物の発生もあり、冷蔵/加熱/瓶詰め技術の未発達から発酵/腐敗/爆発/膨張などの事故が起こることも!?
さらに微生物の発生を抑えるためにサリチル酸やホウ砂など、人体に有害な添加物を使用し多点などからもトマトケチャップに対する社会的反発は大きかったと言えます。

前途多難ですなぁ……

 

 

 

そして現在のトマトケチャップへ・・・


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そして時は進んで1876年、H.J.ハインツ社が新しいトマトケチャップを発売します。
そうです、あの有名なハインツのトマトケチャップです!桃泉も使いますw

大きく変わったのは味と保存性。
技術革新で砂糖が手に入りやすくなり、甘味と酸味バランスの取れた子供にも人気な味に変わりました。
また加熱殺菌/徹底した衛生管理/ビンの密封技術によって、化学添加物を使用せずお酢や砂糖の自然な保存力のみで販売が可能となりました。

か…完全に克服しやがったw

さらに1906年に成立した保存料規制に関するピュアフード法において、ハインツの無添加トマトケチャップが模範例として紹介されました。
さらにさらに!トマトが栄養価の高い野菜として再認識され、トマトケチャップは国民食ハンバーガーやホットドッグに欠かせないアメリカ文化の象徴的な調味料へと昇華したのですッ‼

トマトケチャップの進化は止まらない

トマトケチャップは根本的にトマトをベースに砂糖/酢/香辛料などを加えた、合わせ調味料ですから、制作者によって素材や製法も変わって無限の味わいが演出できるのも面白い!

市販のトマトケチャップだけでも、カゴメ/ナガノトマト/デルモンテ/高橋ソース/Heinz/Hunt's/Felix…と多くのメーカーが存在するのも納得ですね。
味わいが違うからフレンチフライには酸味が強いのを、ソースにはスパイシーなのを…といった使い分けで楽しみ方も人それぞれ!

また原料のトマトを変更して作られた、

【フィリピン:バナナケチャップ】
⇒バナナをベースに砂糖/酢/香辛料などを加えたや~つ
 トマト不足の際に代替として登場し、赤い着色と甘味にマイルドな酸味が特徴です。

【フランス:キャロットケチャップ】
⇒人参をベースにオレンジジュース/砂糖/酢などを加え低温調理で作ったや~つ
 爽やかな酸味とまろやかな甘味で、野菜料理や魚料理に使用されます。

【タイ:マンゴーケチャップ】
⇒マンゴーをベースにニンニク/生姜/チリペッパー/レモン汁などを加えたや~つ
甘酸っぱくスパイシーで、タイ料理やハンバーガーなどにも使用されています。

【日本滋賀県:梨ケチャップ「なちゃっぷ」】
彦根梨をベースに玉ネギ/トマト/酢/砂糖/香辛料などを加えたや~つ
 あっさりした味わいでハンバーガーや、焼肉のタレの隠し味にも使用されてます。

【日本和歌山県:みかんケチャップ】
⇒みかんをベースに砂糖/酢/香辛料などを加えたや~つ
オレンジ色と優しい酸味/甘味が特徴で、ハンバーグやパスタなどに使用されます。

【日本山梨県:巨峰ケチャップ】
⇒巨峰をベースに、水あめ/寒天/クエン酸などを加えたや~つ
芳醇な香りに甘味と鮮やかな紫色で、肉料理やデザートのソースに使用されます。

といったケチャップも生まれ、伝統的なマッシュルームケチャップもミートパイなどに使用され続けていますょ♪

どんどん広がるねぇ~

 

結論まとめ:ケチャップの進化に感謝をッ!

お疲れ様です!

トマトケチャップへ進化の旅路を考えると、先人たちの悩みや努力が積み重なってできたと分かり感慨深くもありますね…

今当たり前のように使っている調味料ですが、少し見え方も変わったのではないでしょうか?

またトマトの価格高騰や日持ちの理由で購入を控えている方でも、トマトケチャップならリコピンやβ-カロテン/ビタミン類が手軽に摂れるので、料理に取り入れてみて下さいな♪

 

最後までお付き合い頂きありがとうございました!
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