桃泉の備忘録

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原価厨が日本を滅ぼす!?なぜ原価を語ると嫌われるのか?

原価を気にする眼鏡男
「この商品、原価たったの30円だぜッ!(ドヤ)」

世間には商品の原価を気にしすぎる原価厨と呼ばれる人々が少なからず存在します。
心の中で思う分には良いのですが、声に出されるとちょっと困りませんか?

Twitterなどを見ると原価厨に対して冷ややかな意見が多いようですから、
外に出て原価についてあれこれ言うのは控えた方が良さそうですね。

せっかくの楽しい気分も台無しよね!

こんにちは。桃泉です。
今回は原価厨の話題を中心に、商品原価について知識を共有します。
原価を学ぶことで商品の本当の価値が見えて来ますよ。

常に原価を気にする人、原価厨

商品の原価を調べる男性

「よく研究しているな~」と感心する部分も確かにありますが、原価で販売してしまってはお店は成立しませんよね。
適正価格を見極めているならともかく、原価しか見ないのは如何なものでしょうか?

商品に+αの価値が加えられているのにね。

時に原価厨さんは原価を気にするあまり、お店の価格が原価と離れていようものなら「ボッタクリ!!」って怒り出しますよね……

本心から激怒してますから、他者が止めようとしても聞く耳を持ってくれません。
男性女性問わず、一定数の方がいらっしゃるのは桃泉も現場で確認済みですw
店員の立場からしたら「メンドクサイ」の一言に尽きます。

「高いから買わないでおこう…」じゃ済まないんだね。

確かに仕入値(=原価)から考えれば高い物ばかり

昔から「粉物と水物は儲かる」と言われているように、物によって差こそありますが、仕入値(=原価)だけで考えるなら「ちょっと高いかな?」と思うこともあります。

確かに食品ではそう思うことも多いかな。

ハンバーガーチェーン店のポテトは有名で、原価は20円ほどという話です。
でも、食べちゃいますよね。美味しいから。
むしろ「ポテトを食べないなんて!」なんて話題も出るくらいです。

あの味を自分で再現するのは難しいもん♪

そうです、みんなは「ポテト」という商品の価値を認めているのです。
「この味なら、このお金払ってもいいな~」って。
(まぁ、安いに越したことはありませんがw)

原価厨が嫌われてしまう原因の多くは、
人が良いと思っている物を全否定することにある
と言えるでしょう。
自分が好きなものを否定されて嬉しい方なんて居ませんものね。

私たちはお金を払って応援しているのよ!

そりゃ嫌われるゎ。みんなが体験した原価厨発言

ここでは原価厨の具体的なクレームを見てみましょう。

◆原価厨のクレーム一例◆
  • うどんの原価が~円で、200円もボッタクられてる!
  • コーヒーにお金を払うなんてバカだ!
  • 無料で手に入るものに値段をつけるな!
  • 昨日と値段が違うのはオカシイ!
  • 他の店ではもっと安かったから同じ値段にしろ!
  • 自分でも作れるからこの値段はボッタクリだ!

……これ、お店の人が言われたら結構キツいですよね?
桃泉も面と向かって「ボッタクリ」って言われたことありますが、気持ち良くはなりませんでしたよ。
これには皆さんも流石にウンザリした様子で、

◆原価厨に対する反論◆
  • 原価厨は自給自足で生きてくれ
  • まずは働いてからものを言え
  • 手間ひま考えない者には材料だけ渡せばよい
  • 代行業は悪者でしかないのか…

などの反対意見が同時に見られました。
こういった反対意見に共通するのは原価厨=自分勝手という考えでしょう。
せっかくの楽しい雰囲気も台無しになってしまいますものね。

ところで原価って何だろう?

今まで原価原価お話しして来ましたが、原価とは何でしょうか?
せっかくですから、辞書をひいてみましょうか▼

①商品・製品・用役の製造・販売のために消費された
 財貨・用役の価値。
仕入値段。もとね。卸(おろし)値段。

 (岩波書店 広辞苑 第五版より引用)

原価厨さんが言う「原価」は仕入値段や卸の値段ととらえて良いと思いますが、
もしかしたらそれよりもっと根源的な、
「原材料費」のことを言っているのかも知れませんね。

商品に価値が付く前の価格ですな!

きっと「原価」という言葉にも幅があるから対立も大きくなるのでしょう。
もちろん原価で販売したらお店は運営できません。
ですから「儲け」を原価に上乗せして商品としてパッケージ化するのですね。

ここで儲けを出すために独自の価値をつけるのね!

私たちがお世話になっているお店にはどんなお金が関わっているのでしょうか?

【悲報】お店は無料で運営できません。

たこ焼き屋

「お店を開こう!」

一念発起して開業したいと考えても、必要になってくるのがお金です。
地代家賃や必要機材、免許の取得など開業資金には大金が必要になります。

想うだけなら無料だけどなwww

例えばたこ焼き屋さんの開業資金なんてどうでしょうか?
聞いた話では開業するために最低でも300万円ほど掛かるそうですよ。
小さなお店を開くだけでも、です。

そんなに貯金ないよ~

数千万円、数億円かけて大きなお店を開けばその分リスクは増します。
ですから、この開業資金をまず仕入値に上乗せしないといけません。
さらに電気代や水道代、人件費などのランニングコストも必要です。

うまく分散させ、長期間かけて回収しているのよ

究極のボッタクリ!?技術料という見えざる価値

商品はなにも物だけではありません。
サービスという技術にも商品価値は存在します。
また、人が行うサービスには仕入れがありません。原価はゼロです。
ではサービス業はボッタクリなのでしょうか?

形は無くても価値は存在しますぞ!

技術料には接客や教育など人が持つ能力が上乗せされます。
書家や画家がサクッと作品を仕上げ、数万円で販売することもあります。
ですから、「製作時間が短いのだから、販売価格も安くていいはず!」と考えるのもまぁ理解できます。
仕入値だけで言うなら書道なんて紙と墨代ですからね。

一生懸命書いたものが10円とか言われたら……

しかし、技能を修得するためには何年も修行しないといけません。
作品を仕上げるために何年もボランティアなんて嫌ですよね。
作品を見て、人々が価値を認めるからこそ、一見ボッタクリと思える販売価格も成立するのです。

技能にはお金も時間もかかっているからね。

レストランにも同じことが言えるでしょう。
シェフが何年も修行して、料理という芸術作品を仕上げる訳ですから。
そこまで理解したら「小麦粉を使っているのに高すぎる!!」とは言えませんよね?

それでも言うのが原価厨だぜ?

人の努力に敬意をはらえず、その価値を認められない。
それでもいざ自分がタダ働きするのは嫌、給料が低いと怒り出す。
あらためて考えてみると、原価厨の矛盾点が浮かび上がりますね。

要するに悪質なクレーマーなのよね。

実は自炊より安上がりになることも!?

安くておいしい

お店によっては、一人分を自炊するより安く食べられることもあります。
牛丼屋さんで考えるならば、300円ほどで頂ける訳ですから桃泉は相当お得だと思います。

人件費だけで考えても十分元が取れるんだ。

何より食べたいものをプロが作ってくれるのはありがたいですね。
自分で作るよりはるかに短時間で食べられますし、お皿洗いもしないで済みますよ。
破格で提供するお店には頭が下がります。

一人で食べる分には安く済むことが多いわね!

また、「コンビニのおでんは高い」という話をよく聞きます。
確かに1本100円で買える大根を思えば、同じ100円のおでん大根は高いでしょう。
しかしコンビニのおでんはバラエティ豊かで、様々な具材のダシも効いています。
大根1本の値段であの味を出すのは不可能ですよね。

煮込んでいる間のガス代とかも馬鹿にできないよ

何より食べたいものが食べられる―これが飲食店の大きな価値と言えるでしょう。
大人数で食べる量を作るのであれば自炊に軍配が上がると思いますが、材料をそろえる手間、調理技術、調理時間、光熱費……
これを一人分のためにかけると考えればコスパはかなり良いと思いませんか?

これが原価で考えることの怖さですよ

「安い=危険!?」原価厨が日本を滅ぼすかも知れない

安くて品質の良いものが世の中に増えていますね。
それでもさらに価格が下がることを望んでしまうのは仕方のないこと。
ただしそれを消費者側から強く訴えるのは危険かもしれませんよ?

必要以上の競争は負担を意味しますからな~

「もっと安く!!」こういった声に応えようと安いものを提供すると、当然安くした分、どこかに負担が生じてしまいます。
会社が品質を変えずに削れるものと言えばまず経費でしょう。

今はどの会社も経費にうるさくなったよね

経費、まぁ会社を経営するための費用ですが、無駄遣いをなくすレベルの削減では消費者には伝わりません。
ではどこを削るのか?そう、人件費です。

経費の中でも大部分を占めているからね~

人件費を削ると従業員一人一人の負担が増えます。
今まで二人でやっていた作業を突然一人でやることになるなんてザラですよ。
さらに残業が増え、ワンオペのような状態も出現。
おめでとうございます!ブラック企業の誕生ですね♪

給料も増えず、残業代も出ないってな!

これ、現実に起きているというのはもう皆さんご存知ですよね?
タイトルにある通り、原価厨とまではいかないまでも、安さへのニーズが高まり続ける限り現代の社会問題は変わらないでしょう。

まさに自縄自縛ですね……

「安かろう、悪かろう」は結局損!!

人件費までも削減しても安さに対する要求は止まりません。
では次はどうするのか?―品質を落とすしかなくなります。

お店を始めた時の情熱はもう無いよね……

材質にこだわり、手間ひま掛けて作られたものは結局長持ちします。
倍の価格で買ったとしても、買い直すくらいなら結局得と言えますね。
「安物買いの銭失い」の言葉が示すように、昔の人はよく判っていたのでしょう。

安いものほど壊れやすいかも。

食品も同様で、健康にも気を使うなら品質ははずせません。
材料費を削ると品質は低下し、美味しくないもの、
場合によっては危険なものを食べる結果になります。

牛丼の値下げ競争なんて昔、ニュースで取り上げられましたが、結局サイドメニューが値上がりして高くつくハメになりましたよね。

安心・安全が当たり前なのはもう昔の話なのね。

衝動買いについてまとめた記事で安物買いの深堀りもしています▼

「お店はワナだらけ!?」お店で衝動買いを防ぐ方法とは? - 桃泉の備忘録

このままではお店が無くなりますよ?

お店は原価と儲けを中心に販売価格を組み立てていますが、
お客さんのことを考え過ぎて薄利営業にすると経営が立ち行かなくなります。

材料費の高い豚骨スープにこだわった激安ラーメン店が、経営不振のため閉店してしまったなんて話もあります。
せっかくの優良店も薄利にしすぎて倒産してしまうのは勿体ない。

閉店したらお客さんは悲しみますな~

日本には「お金を稼ぐのは悪いこと」という考えが根強く残っています。
しかし適正価格で販売することは事業の継続に欠かせません。
これを忘れて単純に自分の価値観だけで「高い!」とクレームをつける行為は営業妨害に他ならないでしょう。

気づいた頃には「安かろう悪かろう」の店ばかりになるね。

確かにお店は競合することでより良い価値を追求しています。
しかし、その価値が価格の安さのみに傾いてしまうと良質の商品は淘汰されます。
さらに問題なのが安さのみを追求した店が市場を独占することです。

競合する相手が居なくなった後、安さで人気を誇っていた店はどういう行動に出るでしょうか?
桃泉なら間違いなく値上げをしますよ。

もちろんこれは極論ですけど、すでに問題は出ているでしょう?
転売屋さんっていう。

スーパーマーケットによって商店街も寂しくなりましたね

お肉屋さんの美味しいコロッケも無くなっちゃった……

結論まとめ:みんな頑張ってる!!

結局、「原価、原価」と言って安さだけを追い求めた先に未来は無いと思います。
みんな頑張っているのに「高い!」と文句ばかり言っていると、やがて特大のブーメランになって自分に襲い掛かってくるでしょう。

さて、今回のまとめです▼

★ポイントまとめ★
  • 仕入れ値に利益を乗せないとお店は営業できない
  • 良い商品、素晴らしい技術の価値が高いのは当たり前
  • 商品を安く売るために削られているのが人件費
  • 安さを求め続けると粗悪品が溢れ、最後は値上げが待っている
  • 原価を声高に語るのは営業妨害であり、店と客を侮辱する行為

で、現にそうなりつつある…と。

文句を言いたいのは分かりますが、嫌なら行かなければ良いだけです。
お店が困るのは何も言わずお客さんに去られることですからね。
本当に適正価格を無視するボッタクリ店は自然淘汰されます。
ですから、少しだけ暖かい目で社会を見守りませんか?

人って絶対どこかで繋がりがあるんだよね~

人と社会のつながりを改めて考える機会となれたなら幸いです。